①今わかっていること、まだ決まっていないこと
まず事実関係を整理しておきます。ブラッカイマーはD23の会場でDeadlineの取材に応じ、デップと話し合いを続けていること、脚本を進めていること、うまくまとまってほしいと考えていることを語りました。 THE RIVER
一方で脚本は開発中の段階で、デップとの契約も製作日程も公開日も決まっていません。新作がスパロウの物語の延長にはならず、マーゴット・ロビー演じる新たな主人公を中心に据え、スパロウは脇に回るという情報は、ブラッカイマー本人ではなく別の関係者からDeadlineが得たものです。つまり「主役交代」の部分は、まだ公式に確定した話ではないという点は押さえておく必要がありそうです。 Tokyo SportsTHE RIVER

②なぜ今、主役交代なのか
シリーズが2017年の『最後の海賊』で止まったのは、デップと元妻アンバー・ハードの法廷闘争でイメージが悪化し、スパロウを主役に据えた続編を作ることが難しくなったからでした。2022年6月に陪審がデップ側を支持し、同年12月に示談が成立して以降、復帰の可能性は繰り返し取り沙汰されてきました。 ZaikeiZaikei
ただ、ここで重要なのはロビー主演企画が今回突然出てきた話ではないという点です。2020年にはロビー主演・クリスティーナ・ホドソン脚本の企画が動いていましたが、2022年に一度立ち消えになっています。それでもブラッカイマーは2025年10月の時点でロビーが今も関わっていると述べ、2本あった脚本が1本に絞られたことを明かしていました。 THE RIVER
つまりディズニー側は、デップ抜きでシリーズを再起動する道を6年近く模索し続けていたことになります。今回の「ロビー主役+スパロウ脇役」という形は、その長い模索の落としどころとして出てきた案なのかもしれません。

③「看板俳優を脇に回して主役交代」は、うまくいくのか
ここが一番の焦点だと思います。シリーズ全体の全世界興行収入は45億ドル(約6,600億円)を超えるメガヒットですが、その求心力の大部分がジャック・スパロウというキャラクターにあったことは間違いありません。
この手の「シリーズの顔を残しつつ、新主人公に軸足を移す」という構成には、いくつかのパターンが考えられます。
- 前任者がしっかりバトンを渡す形で退場し、新主人公が引き継ぐパターン
- 前任者が脇役として残り続け、新主人公と並走するパターン
- 前任者の登場が一種のファンサービスに留まり、物語の中心は完全に新主人公になるパターン
今回報じられている構想は、2つ目か3つ目に近そうです。ただ、スパロウというキャラクターは「主人公らしからぬ主人公」として愛されてきた存在で、常に物語をかき回す側にいました。そのキャラクターを脇に置いたとき、観客が新主人公にきちんと感情移入できるのか。あるいは逆に、スパロウが出てくるたびに新主人公が食われてしまわないか。脚本上の難易度はかなり高いのではないかと考えられます。
もっとも、ブラッカイマーは2025年8月の時点で、デップについて「役柄の書かれ方を気に入れば、やると思う」と語っていたとされます。裏を返せば、デップ本人が納得できる形で脇役としての見せ場が用意されるかどうかが、この企画が実現するかの分かれ目になりそうです。現時点では脚本開発中の段階なので、続報を待ちたいところです。




