①主題歌「くつずれ」というタイトルに込められた意味
本作のオープニングテーマ「くつずれ」は、ハチワレの声を担当する田中誠人さんが歌う楽曲です。作詞はちいかわの生みの親であるナガノさん自身が手がけており、原作者本人の言葉でこの曲の方向性が決められているいうことですね!
「くつずれ」というタイトルがまず象徴的です。靴擦れは、命に関わるような大きな怪我ではありません。歩くたびにじわじわと気になる、地味だけれど無視できない痛みです。この「大したことはないのに、確かに痛い」という感覚こそが、曲全体を貫くテーマになっていると考えられます。歌詞は、痛みを抱えながらもとりあえず前に進もうとする気持ちと、それでも「痛いものは痛い」と正直に認めてしまう弱さの両方を描いていて、単純な「頑張れ」ソングにはなっていないところに特徴があります。
②なぜ”痛みを抱えたまま歩く”歌が、セイレーン編の主題歌なのか
セイレーン編は、ちいかわシリーズの中でも特に後味の重いエピソードとして知られています。誰か一人が完全な悪者というわけではなく、誤解やすれ違いが積み重なった結果、島全体が傷つく結末を迎える物語です。そこには、綺麗にすっきり解決するような救いはありません。
「くつずれ」が歌っているのは、まさにそうした状況にふさわしい感覚だと考えられます。大きな傷が完全に癒えたわけではないし、痛みがなかったことになるわけでもない。それでも、その痛みを抱えたまま、また歩き出すしかない。ちいかわたちが島での出来事を経て日常に戻っていく本作のラストと、この曲が描く「痛くても前を向く」という姿勢は、かなり近いところにあるように感じられます。派手な勝利や完全な解決ではなく、”傷を抱えたままでも歩き続けられる”という、地味だけれど芯のある励ましのメッセージが、このエピソードの主題歌として選ばれた理由なのかもしれません。

③ハチワレが歌うことの意味
この曲を歌っているのがハチワレである、という点も見逃せません。ハチワレはテレビアニメでも「ひとりごつ」という楽曲を歌っており、今回の「くつずれ」はそれに続く歌唱曲にあたります。作中でハチワレは、ちいかわを支える頼れる存在として描かれることが多いキャラクターです。そのハチワレが「痛くても歩くよ」と歌うことで、単に主人公たちを応援する外側からの曲ではなく、傷ついた当事者自身が自分に言い聞かせるような曲になっているとも読み取れます。
かわいらしいメロディと、決して大げさではない歌詞の温度感の中に、セイレーン編という重いエピソードを乗り越えるための小さな支えを込めている。そう考えると、「くつずれ」というやや地味なタイトルの曲を主題歌に選んだこと自体が、この映画の姿勢を象徴しているように思えます。

まあ小z気に言えば、ちいかわは人魚を食べた犯人に気づいていますよね。彼の心情を語った歌というのが大きな意味だと私は思いますね!

